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2025年10月21日

親として知っておきたい「薬が子どもの肥満につながる可能性」

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◆病気以外にも使われている抗生剤が肥満の要因?!


 


最近、子どもの肥満が増加している一因として、抗生物質との関連性を指摘する研究が発表されています。


これは米コロラド大学の研究チームが、1995〜2013年の英国の子ども約2万人の医療記録を調べたことによって明らかになったもので、生後2歳までに抗生剤を3回以上使用した子どもは、4歳時点で肥満になるリスクが顕著に高まっていたとのことです。


なぜ、抗生物質を使うと肥満につながるのか?という点に関して、同研究チームは、この調査が、畜産業で大量の抗生剤が使われていたことに端を発していることを明らかにしています。


当時の畜産農家では、短期間で効率良く家畜を太らせるために、抗生物質が大量投与されており、急増している人間の肥満と何か関係があるのではないか、と思ったというのです。


研究者は、「もちろん抗生物質によって助かっている命もたくさんあり、この調査は、その功績を否定するものではない」とも述べています。


近年、抗生物質に耐性を示す薬剤耐性菌が大きな問題になっています。このままでは、本当に必要な時に抗生剤が効かなくなる事態も考えられます。


すでにEUでは、2006年から、家畜の成長促進のための抗生剤使用を禁止しています。


日本でも現在、薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの遂行中ですが、このままでは感染症の治療等が困難になるため、医療現場での安易な使用を戒めることはもとより、医療以外での使用も極力、制限していただきたいところです。


 


《参考文献》


yomiDr.:2016年8月3日、内閣感染症危機管理統括庁HP「薬剤耐性(AMR)対策」、独立行政法人農林水産省非安全技術センター(FAMIC)HP、他


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◆ステロイドの長期使用も肥満につながる可能性がある


 


これは子どもに限った話ではありませんが、薬剤の副作用による肥満に関しては、ステロイド剤の存在も見逃せません。


ステロイドとは、副腎で作られる副腎皮質ホルモンの一種です。ステロイドには、炎症を抑えたり、強力な免疫抑制作用を示したりすることから、各種アレルギーや膠原病、肺炎、腎臓病、皮膚病などの治療薬として用いられています。


長期に使用すると、激しい副反応を発現する可能性があるため、最近はステロイドを悪者扱いする論調も増えていますが、非常に効果が高い薬であるのは間違いありません。


ステロイドの副作用としては、血糖値を下げるインスリンホルモンが効きにくくなって糖尿病や高血圧を発症したり、血液中の脂肪分が多くなる脂質異常症などを引き起こしたりする場合があります。


また、ステロイドは脳に作用し、食欲を刺激して太りやすくなります。特に育ち盛りの子どもは、それが強まる傾向があると考えられるため、注意が必要です。


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今回は、2回にわたって子どもが肥満になる要因について見てきました。


ご覧の通り、世の中には万能な治療法など存在せず、現代の子どもを取り巻く環境は、誘惑や落とし穴に満ちていると感じた方もいるかもしれません。


例えそうであっても、子どもたちのためにできることはあると思います。


まずは実情を知った上で、ご自身と子どものために、どう行動するのかを考え、選択していくことから始めませんか?


 


サーチュインクリニック東京


院長 高田秀実