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2024年11月29日
QOL(Quality of life:人生の質)の実現に必要不可欠なもの
【QOL(Quality of life:人生の質)の実現に必要不可欠なもの】
◆QOLに対する期待と現実の差は大きい
最近、QOLという言葉をよく聞くようになりました。
現在の日本では、基本的に飢えや病気の脅威からは解放されていますので、その分、人々の興味・関心がQOLに向けられるようになったのも当然でしょう。
近年、物質的豊かさだけでなく、幸福感や充実感も重視されるようになった結果、QOLの概念は、時とともに変遷し、今では多様な意味を持つようになっています。
例えば経済の分野でも、経済指標だけでは測りえない精神的満足が言及されるようになり、環境においても、便利さだけではない都市機能の向上や、自然環境への配慮も必要とされるなど、一口にQOLと言っても、評価尺度は多岐にわたります。
昨今、医療現場でもQOLが取り入れられていますが、患者様の生活の質の向上というよりは、病気による苦しみを取り除く(場合によっては紛らわす)という意味で使われていることが多いのが実情です。一例を挙げると、がん患者が抗がん剤の副作用に苦しんでいる場合や、がん性疼痛、慢性疾患による耐えがたい苦痛などに対して行う軽減措置も、QOLの一環だと捉えます。
医療現場では、少しでも患者様の苦しみを取り除くための努力が行われてはいるものの、それらは一般に考えられているような、元気であることが前提のQOLからは程遠いものです。
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◆QOLの7つの要素の中で、最も大切なものとは?
実際、何をQOLと感じるのかは、人によっても違いますが、主な要素をピックアップしてみると、以下のようになるでしょう。
《QOLを高めるための7つの要素》
1、身体的健康:病気がなく、身体的機能に大きな問題がないこと
2、精神的・心理的健康:ストレスが少なく、精神的に安定していること
3、社会的関係:人間関係が良好なこと
4、経済的安定:生活に必要な収入があること
5、生活環境:安全で快適な居住環境等が確保されていること
6、教育や自己実現:学習し、自己の能力を向上させる機会を持つこと
7、余暇と娯楽:十分な休息が可能で、生活を楽しむゆとりがあること
通常、QOLと聞くと、多くの人は、先に挙げた7つの要素のうちの「6、自己実現」や「7、余暇をどう過ごすか」といったことを思い浮かべるのではないかと思います。
確かに、健康が空気のように当たり前であるうちは気づきにくいのですが、実際のQOLとは、このような構造になっていると考えられます。
QOLの構造
※ADL(日常生活動作)…食事、排泄、入浴など、主に高齢者の自立に必要な最低限の動作ができるかどうかを測る指標
しかし、年を取るとともに、体も弱くなります。もし、人生のQOLを極めたいのであれば、まずは土台をしっかりしておかないと、気づけば危うい均衡状態に陥っているかもしれません。
不健康なQOL
人生の質を上げるためには、まずは健康への投資が必要です。投資とは、必ずしも金銭的なことだけではなく、健康に関する知識を深め、運動など健康を維持するための行動を起こすことなども含まれます。
QOLには、物質的、経済的、精神的など、いろいろな要素があるとはいえ、その根底に健康があってこそだということを、ぜひ忘れないようにしてください。
サーチュインクリニック大阪 院長 鈴木嘉洋
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