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2025年12月02日

糖尿病治療薬は、アンチエイジングにも効果がある

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◆減量は、予防医学的観点からも“必要”


最近、糖尿病治療薬がアンチエイジング業界で注目を集めるようになっています。特に予防医学的観点からも、糖尿病治療薬の応用が求められているのです。


現在、巷でGLP-1ダイエットとして話題になっている糖尿病治療薬の一つに、マンジャロがあります。


マンジャロはGIP/GLP-1受容体作動薬といって、GIPとGLP-1という2つのホルモンに作用する、世界で初めて承認された薬です。


GIPとGLP-1の相乗効果によって、食欲抑制、血糖制御、過食、肥満、糖尿病の改善などに効果を発揮します。


マンジャロは週に一回、お腹や太ももなどに打つ注射型の薬です。自分で打つことができ、量の調整なども不要で、デバイスも優れています。


実際にマンジャロを使用すると、食欲がなくなり、平均で1.2キロから3キロくらい体重が落ちます。


これまでも述べてきたように、痩せることは、美容目的だけでなく、中高年の健康を大きく左右する重要なポイントになっています。


マンジャロを使用して痩せることは、ある意味、カロリー制限をしたのと同じ効果をもたらしているのも事実なのです。


《参考文献》


糖尿病リソースガイド:2023年3月2日、4月18日、5月25日、他


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◆免疫系の活性化に効果を持つメトホルミン


もう一つ、糖尿病治療薬の中で、アンチエイジング業界が注目している薬に、メトホルミンがあります。


人間の体内では、空腹時など糖質が不足した際、肝臓や腎臓などで、筋肉や脂肪などから糖を作る糖新生という代謝が行われますが、メトホルミンにはそれらを抑制し、インスリンの効き目を調整するなどの働きがあります。


糖尿病患者は、体内の血液中のインスリンレベルが高い状態が何年も続くことが多く、それががんを促進させる可能性があります。


一方、メトホルミンを投与している糖尿病患者は、そうでない患者に比べて、がんの発症リスクが低い傾向にあるという報告が多数寄せられています。


また、人の細胞内には、AMPKと呼ばれるエネルギー代謝を制御する重要な酵素が存在しています。メトホルミンには、肝臓などでこのAMPKを活性化する作用があり、それががんの発症を防いでいるのではないかとも考えられています。


その他、ウイルス感染した細胞やがん細胞などを攻撃・除去するキラーT細胞のCD8を、メトホルミンが活性化させたという報告もあります。


他にも、ミトコンドリアが排出する活性酸素を抑制するなど、メトホルミンには免疫系統の活性化や抗酸化作用などといった、さまざまなアンチエイジング効果が期待されているのです。



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保険診療は、保険という仕組み上、どうしても「発病してから治療」という流れにならざるを得ませんが、少子高齢化が進行すれば、いずれは予防医療が国策になる日が来るのではないでしょうか。


いつの日か、病気の高齢者を減らす目的で、メトホルミンやマンジャロが病気の発症前に処方される日が来るかもしれません。


サーチュインクリニック東京


院長 高田秀実


《参考文献》


糖尿病ネットワークDiabetes Net.:2020年5月15日、10月1