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2025年05月27日

日本で低出生体重児が増えている要因とは?

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【日本で低出生体重児が増えている要因とは?】


 


◆新生児死亡率が低下しているのに、低出生体重児は増加している日本


日本は、世界と比較しても、新生児死亡率が非常に低く、トップレベルです。2018年2月、ユニセフ(国連児童基金)によって、日本は「赤ちゃんが最も安全に生まれる国」の一つだと認定されました。


その一方で、日本は低出生体重児が密かに増えていることをご存じでしょうか。


低出生体重児とは、体重が2500g未満で生まれてきた子どものこと。正常な体重とされる2500g以上4000g未満の子どもに比べて、重篤な障害が出やすいと言われています。


この40年余りの間に、日本では低出生体重児の割合が5.6%から9.4%へと増加しました。この数字は、東アジア・太平洋地域の平均値である6%をも上回っています。


低出生体重児の割合推移



※NHK NEWS WEB:2024年2月9日より抜粋


子供が低体重で生まれる理由は多岐に渡ります。


国立環境研究所と大阪府立病院機構大阪国際がんセンターが共同で行なった調査によると、母親の年齢や妊娠高血圧症などの病気、鉛など化学物質のばく露、さらに母体の妊娠前のBMI値や妊娠中の体重、喫煙なども関係していることがわかっています。


低出生体重になる大きな要因とされているのが、母体の妊娠中の体重増加が8kg未満の場合です。これは、胎児が母体から栄養を摂取している以上、因果関係は否定できないでしょう。


《参考文献》


日経新聞Web版:2018年2月20日、国立研究開発法人国立環境研究所:2022年11月22日、NHK NEWS WEB:2024年2月9日、他


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◆栄養不足と低出生体重児との関係


厚生労働省が発表した「妊娠・出産に当たっての適切な影響・食生活に関する調査報告書(平成30年)」によると、どの年代の妊産婦でも、朝食を食べない人が10%前後の割合で存在し、その他(学校給食や社員食堂の利用、サプリや栄養ドリンク剤のみ、またはお菓子や果物など嗜好食品のみ摂取)と合わせると、20%前後になります。


もちろん、病気や体調不良等のために、食べたくても食べられない人がいる反面、妊娠前と同じ食生活を続けてしまう人や、マスコミなどの影響により、スタイルを気にして食べない人も一定数いることが考えられます。


また、これは私の個人的な意見ですが、近年、野菜に含まれる栄養素が減少していることも、低出生体重児の増加と何らかの関係があるのではないかと見ています。


例えば母体の葉酸や鉄分などが不足すると、胎児の発育に大きな影響を与えることがわかっています。


万一、子どもが低出生体重児として生まれても、多くは出産後、順調に育ちます。


しかし最近になって、低出生体重児として生まれた人は、後年、心血管疾患や高血圧、糖尿病などの罹患率が、正出生体重児に比べて、1.06倍から1.27倍も高いことが、国立生育医療研究センターなどの研究によって明らかになっています。


仮に、「自分の子どもが低出生体重児だった」ということであっても、食生活や健康に注意を払って生活すれば、成人期に発症する可能性のある生活習慣病を防ぐことは可能です。


もし、この文章をお読みの方の中で、何か不安や心配ごとなどがある方がいれば、ご相談いただければと思います。


 


サーチュインクリニック東京


院長 高田秀実


 


《参考文献》


国立研究開発法人国立成育医療研究センター:2023年11月30日、日本薬学会環境・衛生部会HP、日経新聞Web版:2022年6月8日、他