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2025年04月24日

辛いアレルギーはなぜ起きる?どうしたら良い?

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【辛いアレルギーはなぜ起きる?どうしたら良い?】


◆アレルギー反応が起きるメカニズム


もはや国民病とも言われるようになったアレルギー。花粉症や食べ物アレルギー、金属アレルギー、アトピー性皮膚炎に喘息…と、かつては非常に珍しかった病気が、今では広く見られるようになっています。


そもそも、アレルギーとは何でしょうか。


元来、私たちの体内には、侵入してきた病原菌などの異物を排除するための免疫システムが備わっています。


ところがこの免疫システムが、本来は無害なもの(例えば花粉やハウスダストなど)にも過剰に反応してしまい、不快な症状を引き起こす場合があります。これがアレルギーです。


免疫反応には、2段階あります。


最初に病原菌が体内に侵入してきた際、マクロファージと呼ばれる免疫細胞が病原菌を攻撃して捕食します。これを一次応答と言います。同時に、体内に入ってきた病原菌を、リンパ球の一種であるT細胞が記憶します。これを獲得免疫と言います。


次に同じ病原菌が入ってきた時に、それを記憶していたT細胞が抗体を作るよう指令を出し、それを受けた攻撃細胞のNK細胞などが、迅速に攻撃して病原菌を死滅させます。これが二次応答です。


アレルギーとは、病気とは無関係の花粉やダニなどを攻撃対象として記憶してしまい、二次応答を引き起こしている状態のこと。いわば、免疫システムの誤作動なのです。


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◆アレルギーの発症要因は、まだ特定されていない


もともと新興国に住む人で、アレルギーが発症する人は少ないため、「アレルギーはキレイ過ぎる環境が一因ではないか」とも言われています。


これを、衛生仮説と言います。


ワクチンを思い浮かべてみてください。ワクチンは、不活化した菌を使ったり、ウイルスのタンパク質を作る遺伝情報の一部をmRNAにして体内に送り込んだりして、体に獲得免疫を記憶させる方法です。


矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、病気にならないためには、多くの細菌やウイルスにさらされて、獲得免疫を最適化する必要があります。


それを人工的に行っているのがワクチンなのです。


現在、衛生仮説でアレルギーの全てを説明できるわけではなく、依然として仮説の域を出ていません。とはいえ、生活環境の劇的な変化に、私たちの免疫システムが対応し切れていないのは確かなようです。


なぜ、免疫が誤作動してしまうのかについては諸説あり、定まっていませんが、最近は、腸内環境との関係性が取り沙汰されたりもしています。


ただ、アレルギーに悩んでいる方は、できれば自己流で対処するのではなく、多角的な視点で検討して、予防医療クリニックなどにも相談されることをお勧めいたします。そのほうが、より効果的な治療法を紹介してもらえるのは間違いありません。


 


サーチュインクリニック大阪 院長  鈴木嘉洋


《参考文献》


『アレルギーはなぜ起こるか ヒトを傷つける過剰な免疫反応のしくみ』(斎藤博久著、2008年、講談社)、東京薬科大学研究ポータル:2023年4月25日、日経メディカル:2021年10月13日、他