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2025年01月17日

二つの医療を使い分けることで、人はもっと人生を謳歌できる!

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【二つの医療を使い分けることで、人はもっと人生を謳歌できる!】


 


◆人間が長寿になってわかった「老化は当たり前ではない」という事実


身体が経時的に衰えていくという人間の老化は、長い間、生理現象の一つであり、避けようのないことだと考えられてきました。


そもそも、人間はそこまで長くは生きられませんでした。縄文時代の日本人の平均寿命は、15歳ほどだったと言われています。

その後の有史時代に入ってからも、環境や気候変動などによって、日本人の寿命は延びたり縮んだりしながら、少しずつ長くなっていき、明治以降は、40歳過ぎまで生きられるようになりました。


ところが、それからわずか100年ほどの間に、私たちの寿命は2倍近くにまで延びています。

寿命が急激に延びた要因としては、乳児死亡率の低下、環境の改善、飢えからの解放などが挙げられています。結果、若くして死ぬ確率が大幅に減少したのです。


一方、多くの人が長く生きられるようになると、老化するスピードが、人によって違うことが明らかになってきました。年齢の割に若く見える人や、そうでない人がいるという事実は、老化が自動プログラムで否応なく進むものではないことを示しています。


現代医療の加速度的な発展は、アンチエイジング(抗老化医療)分野にも多大な恩恵をもたらしています。特に2000年代に入ってからは、日進月歩で進化を遂げてきました。


現在の流れを作るきっかけとなったのが、2010年5月に、世界的権威を持つロンドン王立協会で、一つの結論が採択されたことでした。2日間の会合を経て、「老化とは、幅広い病理学的帰結を伴う疾患のプロセスであり、老化そのものが一つの疾患だ」と結論づけられたのです。


「老化は病気(疾患)であり、治せる」という概念は、これ以降、徐々に広まっていったわけです。


《参考文献》

『LIFE SPAN(ライフスパン):老いなき世界』(デビッド・A・シンクレア、他1名著、2020年、東洋経済新報社)、中央公論.jp:2022年2月10日、他


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◆一般医療とアンチエイジングは、お互いを補完するもの


現在、業界で最も注目されている物質の一つであるNMNについて、アンチエイジング効果があることを報告したのは、ワシントン大学教授の今井眞一郎教授です。


今井教授は2011年、NMNが糖尿病治療に劇的な効果があることを報告し、2016年には、老化を抑制する可能性があることを医学誌上で発表。

今井教授が日本人であったことから、日本では、世界に先駆けて2015年からNMNが発売されています。


アンチエイジングが、一般の方々にも知られるようになったのは、「老化は治療が可能」と主張し、世界的なベストセラーとなった『LIFE SPAN(ライフスパン):老いなき世界』(デビッド・A・シンクレア、他1名著、2020年、東洋経済新報社)の影響が大きいでしょう。


「だったら、この書籍は日本の医学界をも揺るがしたのか?」というと、残念ながら、そうはなっていません。私も、当時はまだ総合病院に勤めていましたが、世間で本書が話題になっているということを知りませんでした。


元来、保険診療とは、すでに発病してしまった人を治療することが仕事です。老化は病名ではありませんから、もともと一般医療の対象外です。

他方、アンチエイジングとは、健康な人が病気にならないようにする医療ですから、保険診療とアンチエイジングは、ちょうど真逆の関係にあると言えるでしょう。


だからといって、私は、一般医療とアンチエイジングが対立関係にあるとは思っていません。両者はむしろ、お互いを補完する関係であると考えています。


『LIFE SPAN:老いなき世界』で、その名を知られるようになったNMNですが、やがてはドラッグストアでも気軽に買える時代が来るでしょう。

その頃には、人々はアンチエイジングで若さと健康を保ちつつ、病気になったら一時的に保険診療のお世話になり、死ぬ寸前まで人生を楽しむような世の中になっているかもしれません。


ぜひ、そうなることを願っています。


サーチュインクリニック大阪 院長 鈴木嘉洋


《参考文献》

WIRED:2015年2月16日、日経BP Beyond Health:2021年9月16日、他