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2025年01月10日
「現代社会は金魚鉢と同じ?!」閉塞感が病気を誘発する!
【「現代社会は金魚鉢と同じ?!」閉塞感が病気を誘発する!】
◆一般診療の医師は、予防医療には詳しくない
これまで再三、「病気にならないためには予防が肝心」というお話をしてきました。
こう言うと、中には「何を今更、当たり前のことを…」と思う人もいるかもしれませんが、実は医療関係者の中で、予防医療に詳しい者はあまりいません。
医師も、看護師も、病気については詳細に学ぶし、現場でも治療に当たっていますから、馴染みがあります。
しかし予防に関しては、これまで全く習ってこなかったし、そもそも健康な人を診てはいませんから、実はよく知らないのが実情です。
医師にわかるのは、「病気か・病気じゃないか」であって、「どうしたら健康でいられるのか?」というのは、医師にもわからないことが多いのです。
とはいえ、病気になる基本的なメカニズムについてであれば、医師にもわかります。
「病気にならないようにするのが予防」だという以上、病気になる要因を避けることが重要であるのは、言うまでもありません。
今回は、病気になる基本的なメカニズムの一つである環境要因について考えてみたいと思います。
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◆現代社会という閉ざされた空間は、病気になる要素で溢れている
わかりやすくするために、ここでは水槽の中の金魚を例にお話ししましょう。
魚を飼ったことがある人であれば、わかると思いますが、魚も病気になったり、思っていたより早く死んでしまったりします。
魚が病気になった理由について、「魚が弱っていたから」「病気に感染したから」「寿命だった?」等々、魚自体が原因であるとシンプルに考えがちです。
魚が病気になる原因として、考えられる大きなものの一つに環境要因があります。つまり、水槽のコンディションの問題です。水槽は、非常に閉ざされた空間であるという点が重要なのです。
常に天然の自浄作用がある川や海などと違って、水槽のように限られた空間の中にいる生き物は、誰かが環境を整え、世話をしないと生きていけません。餌をあげて、酸素を送って、定期的に中の水を取り替えないと、例え元気な魚であっても病気になってしまいます。
実は、魚もストレスで死ぬことがあります。水槽の大きさに対して、入れる魚の数が多すぎると、過密状態になってストレスが高まり、適正な数になるまで弱いものから死んでいくのです。
この魚たちが置かれている環境は、私たちが現在、置かれている状況と非常に似ている気がしませんか。
私たちは、ある意味、現代社会という閉ざされた世界に生きています。
魚は、人間が世話をして、環境を調整してあげることで元気に生き続けられます。一方、私たちの世話をするのは誰かというと、自分自身をおいて他にはいません。
かつて私が呼吸器内科に勤めていた時のことですが、診察室に座っていると、時々「医師だから治療方法は何でもわかるだろう」「病気を何とかしてくれるに違いない」と思い込んでいる患者様がいらっしゃいました。
例え医師であっても、出会って数分の相手が、どのような生活をしていて、どのような環境要因で病気になったのかを推し量ることは困難です。唯一、それを知っているのは自分であり、自分自身の生活環境なのです。
現代社会は、私たちが思っている以上に過酷な環境です。読者の皆様には、そのことを自覚していただいた上で、ご自身の健康を守るべく、普段から自分の生活を振り返り、ご自愛いただきたいと切に願っています。
当院では、このような俯瞰した視点からのアドバイスも行うよう心掛けております。日頃の見直しにもご協力できると思いますので、よろしければご来院ください。
サーチュインクリニック大阪 院長 鈴木嘉洋
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